Hello the Masking Face 店主敬白&番頭日記

釣具を扱うビンテージタックルウェアハウス「Hello the Masking Face」の主と番頭が綴る日記です。

番頭日記20130928 クローズドフェイススピニングリールはどんな釣りに向く?(3)

クローズドフェイススピニングリールは
どんな釣りに向く?(3)
―クローズドフェイススピニングリールの欠点とは―


どうも。懲りずに番頭です。

前回までは、クローズドフェイススピニングリールが非常に手返しのよい釣りを実現できることと、その特徴から、渓流でのルアー釣りなどに向いていることを書いてきました。
キャストからリトリーブまでがストレスなくスムースに移行でき、糸縒れはなく、渓流ではスピニング用の豊富なロッドを活用でき、「渓流ベイトフィネス」に勝るとも劣らないテンポのよい釣りが可能……。
「クローズドフェイススピニングリールとは、まるで夢のようなリールではないか」
そんな風に思われたかたもいらっしゃるかもしれません。
しかし、クローズドフェイススピニングリールがほんとに利点しかない理想の機械であるなら、今頃もっとメジャーな存在になっているハズ。
そうでない現状には、きちんとした理由(?)があるのです。
今回はクローズドフェイススピニングリールの欠点について、です。

クローズドフェイススピニングリールの欠点、それはまず何より、「重い」こと。
最新のスピニングリールやベイトリールは200gを切ったものも珍しくありませんが、クローズドフェイススピニングリールはどれも300g前後と遙かに重く、特に短く軽量な渓流用ロッドとのバランスは決してよいとは言えません。
次に挙げられるのが、「ギア比が低い」こと。
7:1といったハイギアモデルも珍しくない昨今ですが、クローズドフェイススピニングリールのギア比は約4:1。特に505、503、520は約3.9:1と一段と低いため、上流に向かってルアーを投げるアップストリームな釣りでは少しばかりつらい思いをすることなります。できれば506以降の比較的新しい機種を使うのがオススメです。
また、ラインがカップに触れ続けて抵抗を受けるため、2g前後の軽いルアーの飛距離がスピニングリールより若干劣るという点も、人によってはかなりのデメリットと感じることでしょう。
そして最後の欠点が、「未使用の製品が入手しづらい」こと。
Abuのクローズドフェイススピニングリールとしては「506 mk II」という現行機種が存在するのですが、ヨーロッパ市場でしか売られていません。1960年代から80年代までの製品である「500」シリーズも必然的に中古品を探すのが現実的です。
あ、加えてもうひとつ。
渓流や、ブラックバス、シーバス程度の釣りで問題になることはありませんが、スピニングリールに比べて巻き上げのパワーが弱いというのも、クローズドフェイススピニングリールがマイナーな存在に甘んじている理由、欠点に加えるべき事柄と言えましょう。

こうしてみると、クローズドフェイススピニングリールの欠点、けっこうありますね。
しかし、しかしです。
50年も前から基本的な構造が変わっていないにもかかわらず、ある面では高度なテクノロジーがふんだんに盛り込まれた最新のリールにも決して引けを取らない高い操作性を誇り、そして同時に、これだけたくさんの欠点もある。
そんなアンバランスさこそ、主と番頭が愛してやまないクローズドフェイススピニングリールの魅力なのです。

雑誌の記事に踊らされて、
「渓流ベイトフィネスをはじめてみようかな?」
なんて思ってらっしゃるかたがいらしたら、まずはクローズドフェイススピニングリールを試してみてください。
今でしたら、高価なベイトフィネス用の最新リールと渓流用ベイトロッドを揃えるよりも、ヤフオク!などで「506」をはじめとするクローズドフェイススピニングリールが、かなり安価に入手できることでしょう。
渓流でのルアー釣りでなくとも、手返しよくルアーを連続してキャストするような釣りをされるかたであれば、今回並べ立てたような欠点を踏まえたうえであっても、1度はクローズドフェイススピニングリールの使用を試してみる価値はある。
主と番頭は、そのように思っているのです。




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