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Hello the Masking Face 店主敬白&番頭日記

釣具を扱うビンテージタックルウェアハウス「Hello the Masking Face」の主と番頭が綴る日記です。

店主敬白20140306 少年釣具酔夢譚 その二

少年釣具酔夢譚 その二

私の小学校高学年の頃に子供たちの間で釣りブームが盛り上がった理由の一つに少年マガジンで連載されていた「釣りキチ三平」の存在がありました。当時の私は週刊漫画はジャンプを愛読しており、「釣りキチ三平」は友人と単行本を分散して買って読んでいました。週刊漫画誌での連載であることから、小学生からしたらちょっとしたカルトな人気と言え、それがテレビアニメとなって放送されたことで人気が爆発しました。
ダイワは三平のキャンペーンTシャツを五百円で販売するし、練り餌さのマルキューも三平の絵柄入りの練り餌さを発売した程でした。今でも覚えています。「釣りキチ三平」のアニメの第一話の放送。弟とテレビの前で体育座りして七時になるのをいまかいまかと待ちわびました。はじまった!三平の声!

「じっちゃあああああん!」


………。

声、鉄郎じゃんかよ。


感想は以上でした。


初めてルアーで魚を釣ったのは小学五年の夏、鮎釣りをする父親に強引につれていかれた愛知県の寒挟川で、朝方スピナーに食らいついてきたオイカワでした。ルアーにくいつく程なのでオイカワと言っても20cm程ある大きなサイズの物が二匹釣れ、有頂天になりました。

昭和五十年代当時の静岡県は東部の一部を除いてブラックバスは生息しておらず、ルアーフィッシングと言えばもっぱら沼や池でのライギョ狙いが主でしたからあまり多くの需要がおるとは思えませんでしたが、それでも静岡市内にはルアーを扱う釣具店が数件ありました。国道一号の岡本釣具、浅間通りの桃太郎釣り具、そしてルアーは勿論リールからロッドからフライタックルまでハイカラな道具がズラリと揃いに揃った北街道の杉山釣具は垂涎の的でありました。

当時多くの外国製ルアーは皆歩調を合わせたかのような1,200円の定価が多く、オリムピックが代理店をしていたへドンのルアーやフレッドアーボガスト、レーベル、ストームスィンフィン、コットンコーデル、ツネミが輸入してたラパラ(は中のカードを集めて送るとラパラナイフやTシャツが貰えた)、スプーンではダーデブルやルブレックス、スピナーではマイヤーとかブレットンとかセルタとかコメットとか、そんなものが壁一面にギッシリつる下がっていた夢のようなお店でした。

我々小学生は虎の子の小遣いを握りしめて当時は舶来もののコピー製品しか作っていなかったダイワのコネリー(リバーラントのパクリ)やバルサミノー(言うまでもなくラパラのパチもの)を、ウィードびっちりの池でのライギョ釣りにはコーモランのかへるくんなをと、実に可愛らしくルアーをチョイスして買ってはスピンキャストリールで投げていたのでした。

夏休みにM永君がお父さんに河口湖へ連れて行ってもらい、なんとなくウィグルワートを投げたらブラックバスが二匹釣れたという話が学校中に駆け巡り、我も我もと河口湖に行ってはバスを釣ってくる仲間の報告を歯軋りしながら聞くようになりました。

私も我慢出来なくなり、鮎馬鹿の父親河口湖へ連れて行ってくれと懇願したところ、捻くれ者の私の父は素直に河口湖には行かず知り合いのボート屋があるとかなんとかで富士五湖の中であまり釣れない精進湖へ私を連れて行き、見事坊主をくらい非常に悲しい気持ちになりました。



さて、先日番頭さんがアップして下さったこの画像。煌びやかなリール達が並んでいますが、この世界はあくまでも大人のルアーの世界で我々子供の世界とは違う世界なのだと漠然と思っており、これらリールが並ぶ杉山釣具のショーケースには三万円を超える(今から35年前の三万円ですよ??)アンバサダーが大名行列のようにズラリと鎮座しておりまして、お店に詣でてはお詣りしていたような塩梅でした。
月のお小遣いが500円とかの小学生ですから当たり前です。

そんなおり、それまで釣りにはあまり興味を示さなかった金持ちのK井君、三平のアニメスタートとクラスでのルアーの盛り上がりとでよっこらせと思い腰を上げて仲間に入ってまいりまして、ある時この画像の表紙裏の広告のシマノのバンタム200を持って我々の前に現れたから現れたからさあ大変!!!
いきなり世界最先端のベイトキャスティングリールを見せびらかされた我々の興奮といったらもう!!
え?だってたったの一万二千円だったよ??という金持ちの彼の呟きにはっとなり、それまで高くて買える訳がないと思っていた「大人のタックル」ベイトキャスティングリールも、国産のものだったらお年玉で買えるじゃんと風穴を開けられたのでした。

そしてM永君はLew's(シマノ)のBB-1(12,000円)を買い、S山君もバンタム100を買い、僕はそこまでお金がなかったので新しくなったダイワミリオネアのGS3000を買いました。
当時シマノのBM1, BM2は22,000円しましたが、同じ形をしたLew'sのBBは12,000円なのが不思議でした。このBB(BM)とバンタムを作ったシマノのスプールの回転の滑らかさは本当に凄まじく、三万円を超えるアンバサダーも足元に及ばないスプールの軽さで世の中をあっと言わせました。
これに対しダイワはそれ以前からリールでもアンバサダー5000Cの完全コピー品であるミリオネアV(ファイブ)とかミリオネア5000を作っており、とはいえダイワのそれらはアンバサダーと違って7g以下のルアーは全然飛距離が出ない重いスプールのしょぼいものでしたが、値段が数千円で買えるのでそれなりに人気がありました。私が買ったGS3000はそれらの後継機種で軽量化されており(当時のルアー用リールは300gという重さが一つの目安でアンバサダーの5000番台は軒並み300g強、2500Cが250g前後)、スプールもVよりは軽やかに回りましたがやはり友人たちのシマノからは圧倒的に見劣りする性能でした。

とはいえろくに魚も釣ったことがないような小学生たちがいきなりベイトキャスティングリールなんてものを持ってチャリンコで10kmも20kmも走ってバスがいると噂がたった池に、日曜の度に隊列を組んで出掛けるようになるのです。


つづく。


◆「Hello the Masking Face」については、以下のページをご覧ください。

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