Hello the Masking Face 店主敬白&番頭日記

釣具を扱うビンテージタックルウェアハウス「Hello the Masking Face」の主と番頭が綴る日記です。

番頭日記20170914 台風とハンドスピナー。

どうもどうも。番頭です。
渓流もあと半月で禁漁となってしまうところが大半。
秋ですねぇ。
皆さん、釣りに行ってますか?
今回はベイトリールのチューニングについて、です。
 
クラッチを切った状態でスプールを指で弾いたときに、どれだけ長時間回転し続けるか。
一昔前までこれが高性能なベイトリールの証のように言われてきたワケですけど、これって、いいベアリングをつけて機械的な摩擦を減らしたうえでスプールを重くすれば、いくらでも実現できるんですよね。
極端な話、一部のプロアングラーや釣具屋のオヤジはスプールの見えないところにオモリを貼り付けて「ほら、こんなに回り続ける! スゴいでしょ!」なんて言ってリールを売ってきたワケです。
 
でも、そういうリールを実釣に使うと、どうなるか。
非常に使いにくいのですね、これが。
スプールが重いと、そのぶん、慣性が大きく働きます。
つまり、止まっているものは、止まり続けようとする力が、動き出したものは、動き続けようとする力が、より強く働きます。
具体的に言うと、キャストの際に、スプールの動き出しが悪くなり、さらにはルアーの着水後も、回転はなかなか止まりません。
動き出しが悪いということは、ルアーを飛ばすときに、より大きな力が必要であることを意味します。
カンタンに言うなら、軽いルアーが投げにくくなる、ということです。
 
また、ルアーが着水してラインの放出が止まっても、スプールだけは回り続けようとするために、バックラッシュは起きやすくなります。高性能ベアリングを入れるなどの工夫で回転性能を上げていればなおさらです。
バックラッシュが起きないようにするためには、より強いブレーキをかける必要がありますから、けっきょくはルアーの飛距離はさほど伸びないどころか、ブレーキ調整がとてもシビアな使いにくいリールになってしまいます。
 
最近はバス釣りや渓流でのミノーイングでの「ベイトフィネス」という流れを受けて、アフターパーツとして軽量であることをセールスポイントにした替えスプールが売られるようになってきました。
厳密に言うと構造によっても慣性の働きには違いが出るため、そう単純な話でもないのですが、基本的には軽いスプールに変更することで、軽いルアーでも気持ちよくキャストでき、バックラッシュも起きにくくなることが期待できます。
軽量スプールへの交換は、とても実釣向きのチューニングと言えるでしょう。
 
が、しかしですよ。
スプールが軽くなって慣性の働きが小さくなるということは、クラッチを切った状態でスプールを指で弾いても、動き出しこそ軽くなるものの、あんまり長時間回ってくれなくなる、ということでもあるのですね。
メンテナンスをしていると、これがかなり寂しかったりするのです。
 
高性能なベアリングと低粘度オイル、さらに外周にオモリを貼って徹底的に慣性を高めたスプールを組み込む。
釣りに行けないときに遊ぶ釣り人専用のおもちゃとして、そんなハンドスピナーみたいなベイトリールを組んでみるのもいいかな?
 
連休に合わせるかのように日本列島を直撃しそうな台風の渦巻きを見て、ふとそんなことを考えていたのでした。
 
さてさて。
「Hello the Masking Face」のWebショップでは、1960年代から1990年代のものを中心に、懐かしさあふれるリールを販売しています。また、Webショップにならべていない在庫もございます。
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当店で扱っているようなリールは生産を終えてから、10年、20年、30年と経たものばかり。釣具屋へ行けば買えるようなものではなく、まさにその出会いは「縁」としか言いようがありません。
これら品揃えに、ご縁を感じるものを見つけていただけたなら、幸いです。
 
皆さまのご利用、お待ちしています。
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